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「まちづくり」におけるSCの役割は?



「まちづくり」の事例・取組と課題

戦後(1945年以降)、主に大都市部における深刻な住宅不足解消のための住宅供給機関として 1955年に「日本住宅公団」が発足し、集合住宅の供給とともに時代を先取りした良好な住環境や高質なインフラを備えた「まちづくり」にチャレンジして、 ニュータウンを整備してきました。

都市近郊では多摩ニュータウン(以下略:NT)をはじめ、千葉NT、港北NT等、 大規模なNT事業に着手しています。

今回は、「SDGs目標11:持続可能な都市(住み続けられる街づくりを)」の視点から、ニュータウン事業の変遷と、「まちづくり」において、気になっている事例を取り上げながら、どんな課題があるのか?とその取組み目標について報告したいと思います。


日本住宅公団は、住宅・都市整備公団を経て、現在は都市再生機構となっていますが、 以下のように時代の変化に合わせて、複合多機能都市づくり、地方圏での地域振興、スプロール地域の整備等の役割を担ってきました。

■研究・学術都市の整備
筑波研究学園都市(茨城県つくば市)や関西文化学術研究都市(大阪、京都、奈良の3府県)で、 研究・大学・文化施設を創出しています。

■NT事業や沿線開発プロジェクトは鉄道と一体化
多くのニュータウン事業は、鉄道と一体で整備されています。

多摩NT―京王相模原線、小田急多摩線

港北NT―横浜市営地下鉄

千葉NT―北総鉄道北総線

筑波研究学園都市―つくばエクスプレス線(TX線)

関西文化学術研究都市―近鉄けいはんな線


<特色のあるまちづくりの実例>


■複合多機能都市   大阪府和泉市の和泉中央丘陵
「住」「働」「憩」「学」といった多機能都市をコンセプトに事業開発

■基幹インフラとの一体整備   埼玉県越谷市の越谷レイクタウン
土地区画整理に併せ治水対策の河川施設(貯水池)を一体的に整備して調節池を街の中心部に据え、 水とともに暮らす都市を目指し、SCはイオンモール(アウトレット併設)を誘致

■安心・安全なまちづくり   千葉県流山市の新市街地
流山市とともに「安心・安全まちづくり」をテーマに、地元民間業者関係機関と連携して 「防犯まちづくり」「子育て支援」の取組みを実施

こうした整備された「まち」の中での商業地域の中心として、SCはそれぞれの 「街づくり」に貢献しているのではないでしょうか?

そんな中、持続可能な都市にスポットをあてながら、 活気ある「まちづくり」にチャレンジしている事例を報告します。


事例(1)ライフサイクルに応じた循環型街づくり
        山万開発株式会社(ユーカリが丘)

ユーカリが丘は、京成電鉄本線のユーカリが丘駅前にあり、 都内から約1時間、成田空港から25分に位置しています。

1971年千葉県佐倉市で「ユーカリが丘開発」が着手され、79年から宅地分譲を開始しました。 年間200戸に限定した定量供給を約40年続けて、 現在は開発敷地約250ha(東京ドーム53個分)内に、約8000戸の住宅をつくり、 そこに約2万人が居住していますが、世代が偏らない人口バランスを保ちながら暮らしを守り、 住民の皆さんの声に耳を傾けています。

82年には敷地内に公共交通機関として新交通システムを開業させています。
(戦後民間企業初の鉄道事業免許取得)
その後も90年代には、駅周辺への商業施設、ホテル、シネマコンプレックスを開業、 2000年に入ってからは、高層マンションを建設し、更に大型SC(イオンタウン)を誘致し、 高齢者福祉施設、認可保育園、タウン内のセキュリティ事業と 「街づくり」に携わり事業推進しています。

山万開発(株)の可児氏から、
「まちづくり」の取り組みは、『「変わらないもの」「未来に向けて変えていくこと」 「循環し持続発展する仕組みづくり」が重要であり、「変わらないもの」は、 街に住む人が人や自然、日本のよき文化や暮らしを大切にすること、 昔から受け継いできた大事なものをきちんと残すことが大切です。
そして、「住んでいる住民は皆家族」と考えながら、 この3つの要素のバランスを最高の状態に持ち続けて、変わらないものを軸に、 未来を想い事業推進することが、街づくり企業の仕事です。』とお聞きしました。

  「未来に向けて変えていくこと」で一番印象に残ったのは、 まさに「循環し持続発展する仕組みづくり」であり、「不動産の循環」です。

時間の経過とともに、家族構成の変化や加齢などによって、ライフスタイルは変化します。 例えば、子供が独立し、夫婦だけになったが、住み慣れた敷地の中で住み替え希望があり、 山万が分譲する物件(高層マンション等)を購入する方には、 現在の戸建ての自宅を査定額100%で買い取るサービスがあります。 そして、山万が買い取ったあとの戸建て住宅はリフォームし、 そこにはまた新たな子育てファミリーが住み替わるのです。

ライフサイクルに応じた住まいの提供とともに、まちの若返りを図る。
まさに不動産の循環を実施しているのです。


事例(2)母になるなら流山市。共働き子育て世代を支援
      西の二子玉川に対して、東では流山おおたかの森

人口増加率8年連続千葉県内No1、若い子育て世代に選ばれるまちとして 注目されているのが流山市です。約20年前の流山市の課題は、 大都市郊外ベッドタウンが抱えていた急激な少子高齢化と、 TX沿線の区画整理で市に課せられた事業推進と保留地の販売促進でした。

井崎市長は、市長就任後は「マーケティング」と「ブランディング」戦略が必要と考え、 市役所内に「マーケティング課」を設け、SWOT分析やポジショニング及び ターゲット整理を進めました。

子育て世代の活気に満ちた今とは別世界だった当時、流山が持つポテンシャルを信じ、 その可能性を引き出すための市政に挑み、現在19年目に入っていますが、 常に攻めの姿勢で 「日本一住みやすい街にする」を掲げて、
「まちの未来は変えられる!」「住み続ける価値の高いまちづくり」を目指して、 「母になるなら流山市」のキャッチコピーのもと、 子育て支援等に積極的に取り組みながら、
「緑豊かな良質な住環境の維持・向上」「快適で楽しい都市環境の創出」を 基本路線として、
具体的には、定住人口の増加 と  交流人口の増加を目指しています。

定住人口の増加では、
共働きの子育て世代をメインターゲットにし、
この世代を呼び込む「子育て・教育環境」の充実を 図っています。

2015年以降に建てられた200戸以上のマンションには、 保育園の併設をお願いし、2021年春には初めて待機児童ゼロを達成しました。
人口20万の街で約100の保育園数、コンビニよりも保育園が1.5倍の数だそうですが、 やはり駅近等便利な場所に人気が集中してしまい、 その対策として、「流山おおたかの森」駅と「南流山」駅前のビルに 「駅前送迎保育ステーション」を設置し、朝、ここにお子さんを連れてくると、 市内の指定保育所(園)へ送迎を、夕方帰宅時においての出迎えも、 バスでサポートする仕組みを作って支援しています。

<資料>  流山市人口推移  (2011/2021年比較)
この10年間で、人口総数は22.5%増となっています。
年齢別構成をみると、14歳以下は13.8%→16.0%、
15歳から64歳は65.5%→60.8%、65歳以上は
20.7%→23.2%となっており、高齢者が抑えられ、 次世代を担う14歳以下の子供達が増えている事がわかります。





交流人口の増加では、 流山おおたかの森駅前の東神開発株式会社が運営する 「流山おおたかの森S・C」が中核となっています。
2007年に開業した同SCは、TX線と東武アーバンパークラインがクロスした 「流山おおたかの森駅」の南西側ゾーンにありますが、 開業時を想うと15年経過した今の環境変化には目が見張るものがあります。

<資料> おおたかの森SCの売上高&TXの乗降客数 推移
        2011年とコロナ禍前の2019年との対比
SCの売上高は、38.2%増  乗降客数は、36.4%増と大きく伸びています。




森のまち広場(南口都市広場)も、昨年「FLAPS」がオープンして ブリッジで繋がり、囲まれた広場が立体的な劇場空間(コロシアム)のように感じます。
ここでは、東神開発が流山市と連携し、商業施設との一体的な イベント運営・維持管理を実現しています。
具体的には、展覧会や演奏会を誘致して、質とレベルの高い おしゃれなイベントを流山から発信して、流山に来て貰える街を目指しています。

現場に立つと、迫力があり居心地の良い空間ですが、東神開発の部長から、 施設の外壁サイン(大手テナント)のカラーがテナント独自のものではなく、 統一されている事を教えて貰い、「それでだ!!」と納得しました。
流山市の景観条例に基づいての指導があったと聞き、 トータルプロデュースの重要性を再認識しました。






まちづくりで問われる課題に対し、今後取り組むべき対応は?

今回は、ユーカリが丘と流山市を掘り下げましたが、 日本国内が「人口減と少子高齢化」に向かう中では、どの自治体も同じ課題を抱えており、 元気で活気があるまちへの若返りが求められていることが分かりました。



「活気があり、未来があり、安心感があるまち」にするためには、

1.先ずは、「人口を増やすまちづくり」をする

子育て世代の増加をはかるためには 女性にやさしく、子育てがしやすい環境が求められます。

2.「住み続けるまちづくり」をする

多世代の多様性あふれる市民が、癒される、楽しい、ゆったりできる 公園や緑地、併せて文化的なイベントや生演奏が楽しめるホール等が求められます。

3.そして、「住み続ける価値を創造」することに取り組んでいく

ということが重要です。

この実現のためには、
自治体と民間事業者(ここではSCの運用事業者)の連携が必須となります。

DEVは、日々のSC運営の中で消費者(お客様)と接点を持っています。 特に女性の声をキャッチアップして、経営の諸施策に取り入れることが、 企業価値向上に繋がり、未来のまちづくりに結びつくのではないでしょうか?



馬場 英喜
馬場 英喜
ワンスアラウンド株式会社 顧問

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