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リーダーの成長こそが未来をつくる

コロナ禍が始まった2年前の2020年2月、グループマネージャーAさんは、今後のキャリアについて悩んでいました。
大きなイベントを成し遂げ、社内外でも一目置かれる存在になった現在のAさんですが、 「自分は会社から必要とされているのか。」と今後のキャリアについて悩んでいました。

<理想のリーダー像と現状の自分のGAPに悩む>

Aさんは、人の成長に関わることに強い興味を持っていて、 周りからも「人財再生者」と評価されていましたが、話を聞いてみると、 自分自身はなぜそう言われるのかも分からずに、 自分自身が描く理想のリーダー像と現状の自分とのGAPにも悩んでいました。

Q:理想のリーダー像は?
ああいうふうになりたい、という目標があると人は成長する。
マネージャーである自分の姿がカッコよく見えることで、メンバーのキャリア アップのロールモデルになり、「夢」を見せてあげたい。

Q:現状の自分の姿は?
マネージャーとしての仕事に追われ、忙しくて大変そうだといつも部下に言われてしまう。


そこで、自分に時間的余裕を作るために取り組むことを決め、 2~3か月ごとに進捗を教えてもらうようにしました。

Q:「考える」時間を持つために必要なことは?
グループの各店長の成長
 ⇒マネージャーが動かずにすむようになる
 ⇒考える時間が出来る!

Q:成長して欲しい店長とその優先順位は?
グループ全体への影響が大きい2~3店舗の店長⇒1か月単位で結果が出る目標を設定し、 その進捗と本人の変化を確認する。


●初回から数回面談を経て、8カ月たった頃
<自分の強みは何か?>
「周りから人を活かすのが上手いと言われるが、なぜそう言われるのかわからない。 自分自身を知っているようで知らない気がするので、自分の強みを知りたい。」
「定期的な面談が考える機会になり、毎回取り組む目標を設定することで、 自分のマネジメントの引き出しが増えてきた。 一方では、自分の力不足を感じるようになった」

そして、自己分析ツールを実施してもらった結果、グループ内の超ポジティブなB店長との出会いが、 ネガティブ思考の自分にプラスの影響を与えているという気づきがあったようで、 「B店長が得意とする巻き込み力や、盛り上げ力をグループ全体に活かしたい。」という話が出てきました。

●それから更に1か月後
<任せることで、マネージャーの仕事に目が行き始める>
部下に仕事を任せることで、自分自身の次のステップが見えてきたように感じたのがこの頃です。
最近、仕事をしていて「楽しい」と思う割合が7、「辛い」が3くらいと話すAさんに、 自分の時間をコントロールし、部下に任せてみようとする姿勢が出てきました。

「週間スケジュールのなかで、自分で使える時間を2~3時間くらい作るようにしている。」
「そのためにも、任せるところは、任せないといけないと思う。 素質がある店長には複数店舗を預けたり、戦略面も任せてみたい。 それが店長達の経験になるし、サブ店長は店長の仕事の一部を担うなど、他のメンバーの成長につながると思う。」
「任せ方がわからない店長には、他のメンバーに任せることは難しくないということを、 自分の経験を踏まえて教えていきたい。」
「店長がビジョンを出すことで皆が動くような体制にしていきたい。 そして、自分はマネージャーとしてのモデルを作らないといけない。」

●このタイミングで、何をしているときが楽しいか質問してみました。
<楽しいと思う仕事は、人の成長を見ること>
「楽しいと思う仕事は、新しい企画を考えて実行すること」
「人が出来なかったことが出来るようになった瞬間に立ち会えた時に、 マネージャーをやっていて良かったと思う。」

その一方で、自信のなさへの不安もまだありました。
「自分には、“これをやった!”という実績がないので自分に自信が持てない。 自信が持てるような実績や結果が欲しい。」

そして、「マネージャーとしての仕事の仕方」も、次世代に残せる実績ではないか?」 という話をしているうちに、「自分の仕事の仕方が“会社の財産”につながる」という意識が芽生えてきた ように思います。

●2021年2月、初回面談から1年後。
<各店長の強みを活かす体制が出来てきた>
Aさんのマネジメントスタイルに成果が出始めました。

「前からやりたいと思っていたグループ内のスタッフ交流を始めた」
前向きでパワーのあるB店長に、事前に本人の課題や悩みをB店長にインプットした上で、 他店のスタッフを1日ずつB店に順番に送り込み、B店長がフィードバックを実施。 B店長自身のやりがいにもなり、交流者にも大きな刺激になっている。

「C店長は、店長でなくても出来る仕事をサブに渡し始めている」
将来はその分の時間を使って、マネージャーの仕事を手伝ってもらい、 グループ全体に関わって欲しいという期待をC店長には伝えている。

Aさんが、「人を活かす」ということを「自分の強み」として認識することで、 自分のマネジメントスタイルが徐々に形になってきており、 何よりもAさん自身が自分の方向性を確信したと感じたので、 私との面談は1年後のこの日をもって終了しました。


●それから9カ月後
B店長、C店長の店舗も良い成果が出始め、面談期間中に企画していたイベントを大成功させたAさんは 一躍“時の人”になりました。
グループマネージャー自身が、「目標を持つことで人は変わる」ということを身をもって示し、 「リーダーが変わるとメンバー(部下)が変わる」ことを実証して見せてくれたのです。

リーダーの成長がグループの成長につながる


●改めてAさんにこの2年間を振り返ってもらいました。

「2年前の自分は、実績がない自分自身に自信が持てず、周りへ影響力がないことに悩んでいた。 イベントの成功で、周りの評価が変わり、自信が持てるようになったし、 自分の発言を皆が聞いてくれ、前よりも自分の意思が伝わりやすくなったように感じる。」

「以前は自分の経験の範囲のことをマンパワーで必死にやっていたが、 自分だけが忙しそうにしていて、まわりからも大変そうだと言われ、限界を感じていた。 また、自分の成長がないとグループ全体の成長は無いと思っていたが、 そのためには自分の成長が必要だという意識へと変わっていった。 そして、メンバーの皆に楽に、楽しく仕事をして欲しい。」

「昨年の目標は“自ら動く”。イベント企画は大きなプレッシャーではあったが、 様々な業種の人と関わる経験が出来たし、大きな達成感があった。 グループのメンバーの目標となる人になりたいと思っていたが、以前よりも(今は)それに近づいていると思う。」

「更に先に行くために、自分ももっと成長したい。自分の発信で皆に動いてもらい、 コトを起こすようなグループにしたい。」

こう話すAさんには「自分は会社から必要とされているのだろうか・・」と 悩んでいた2年前の姿はもうありません。
マネージャーとしてメンバーに夢を見せる!という前向きな力強さを感じます。 その前向きな思考が行動に現れ、人を惹きつける原動力になり、チーム全体に波及していく。
マネージャーの成長が店長の成長に繋がり、店長の成長がメンバーの成長につながっていったのです。

流れで続けることになった1年間にわたる面談は、結果的に1on1ミーティングに近いものでしたが、 ほとんどは電話面談で、いくつか質問を投げかけただけで、解決法を本人が思いついたり、 気づいたことが多々ありました。

リーダークラスなら自ら答えを見出す力があると信じて、 定期的に話をする機会を意識的に増やしてみることも、 未来をつくるために必要なのではないでしょうか。

※注:本編はAさん自身に了承を頂いたうえでご紹介しております。

岡田 聖子
岡田 聖子
ワンスアラウンド株式会社 シニアディレクター キャリアコンサルタント(国家資格)

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