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ショッピングセンター(SC)の未来を考える ―第5回―


ワンスアラウンドの『現場マガジン』 2021年8月18日号


皆様いつもお読みいただきましてありがとうございます。
ワンスアラウンドが毎週お届けしている『現場マガジン』は、 文字通り我々が運営する《現場》発のホットな情報をお届けするメールマガジンです。
今週は、『マーケットレポート』の第14弾をお届けします。
コロナ禍でのマーケットの変化と、商業施設を中心とする現場の変化をタイムリーに捉えながら、 自らも現場を持つ弊社ならではの視点で、これからの時代へのヒントをお届けしたいと思います。



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【Market Report vol.14】


ショッピングセンター(SC)の未来を考える ―第5回―

こんにちは!ワンスアラウンド顧問の馬場です。
前回、ショッピングセンター(以下:SC)の運営においては、 経営理念(ミッション)を中心に据えてSC運営管理を支えている 「テナント」「テナント本部」「ディベロッパー」「業務委託先」がミッションを共有し、 それぞれの役割を果たすことが重要であり、その結果、現在求められている「オペレーションマネジメントの差別化」に 繋がると述べました。
全国約3200SCの中には、約16万店のテナントが入居していますが、 今回はお客様との直接の接点を持っているテナント側に視点を移し、 昨今、DEVにとって重要な経営課題となっている「リアル店舗」と 「EC(B2C)」の店舗運営の在り方について少し掘り下げてみたいと思います。





リアル店舗の運営形態を検証

小売店舗は業種、業態により「FC」や「販売代行」、そして最近は「リアル店舗」と「EC」の 融合の形を模索しながら成長し、今日に至っています。
そんな中、メルマガ読者の方から店舗の運営形態に「FC店」「販売代行店」があるが、 どのような背景があるのか?というお尋ねがありました。


(1)テナント側の運営形態の変化とその背景

半世紀ほど前は、アパレルメーカーの販売形態は、直営店舗は珍しく殆どが「卸ビジネス」でした。
ところが1980年代に入り、デザイナーズ&キャラクターズブランド(DCブランド)などの SPAが主流になり、地方の路面店展開を進めていましたが、 直営出店してもブランド認知が低く集客が出来ずにいましたので、 お客様を持っている地方の「有力小売店」にFCという形態で店舗運営をお願いする事になりました。

その後、地方でのSC開発が活発になり、マネジメントの効率化や人件費が固定費から流動費に変わるという 視点から、販売代行による店舗運営がよりクローズアップされ、 地方有力小売店が自店以外に複数ブランドの販売代行店を運営するようになりました。

(2)こうした業界の販売戦略の変化へのSCの対応

■2000年に入ってから、FC店を認めないSCがありました

FC店は、ブランド(メーカー)との直接契約ではありませんので、DEVから 見ると、FC店の先にブランド(メーカー)がいて、ブランドの営業戦略や 商品展開についての話が直接出来ずに、現場での対応や修正にどうしても 時間を要するので、FC出店を認めないSCがありました。

■地方SCにとっては、必要なリーシング手段になりました

SCの独自性を出す手段として、ある地方の駅ビルは施設のMD上、欲しいブ ランドがあっても、なかなか出店の判断を貰えずにいた時、DEV自らがフラン チャイジーとなってブランドを導入したケースがあります。 現在は全国展開のブランド6店舗を運営し、雑貨店は駅ビル運営会社の社 員が販売し、アパレル店は、地元の小売専門店に販売代行を依頼しています。 このような柔軟なテナント運営の事例が最近増えてきました。

■アウトレットモールの運営には、販売代行が不可欠になっています

米国でスタートした「アウトレット」ですが、国内では2000年代に入ってから、 本格的なアウトレットモールが展開されました。 国内初の本格的な施設は「御殿場プレミアムアウトレットモール」ですが、 従来のSCとは出店立地が違うので、東京からのスタッフの異動が難しく、 販売代行会社の運営店舗が増えました。



(3)テナント管理に新たな課題!それはオムニチャネル対応!

テナントのオムニチャネル戦略に伴い、SCにおいて従来型のテナント管理では合わなくなっています。
つまり、テナント企業の成長戦略を推進する手段として「FC」や「販売代行」が生まれたように、 ECの普及とともにオムニチャネル販売が生まれ、今まさにコロナ禍により、 企業の生き残り戦略としてクローズアップされています。
そこでSCにおいては、「FC」や「販売代行」と同様に、これを「受け入れる為にどうするか?」を 考えなければなりません。
テナントの成長戦略や生き残り戦略を受け入れる新たなマネジメント(運営管理)体制を 作ることがDEVとしての使命だと思います!




コロナ禍のEC売上状況を検証
そこで、新たな販売戦略になっているECの売上状況について共有したいと思います。


■コロナ禍でのEC売上げは「巣ごもり消費」を如実に反映

コロナ禍の2020年のEC売上は大きく伸びているかと思っていましたが、 経済産業省の「2020年電子商取引に関する市場調査」によると、 総額は、ほぼ横ばいで、物販系は伸びていますが、サービス系が大幅ダウンとなっています。

2019年2020年伸長率

総額19兆3609億19兆2779億▲0.43%

物販系10兆0515億12兆2333億21.71%

サービス系7兆1672億4兆5832億▲36.05%

デジタル系2兆1422億2兆4614億14.90%


物販系の業種別伸長率は

生活家電・AV機器・PC周辺機器29%増

書籍・映像・音楽ソフト25%増

生活雑貨・家具・インテリア22%増

食品・飲料・酒類21%増

衣料品・服飾雑貨16%増

サービス系の業種別伸長率は

旅行サービス▲60%

チケット販売▲66%

飲食サービス▲18%となっています。


■大手ECサイト(モール)では大手ブランド売上げが激減

大手ECサイト(取扱いブランド数:約1,200)の5月、6月売上を見ると、 前年に比べてほぼ横ばいで推移していますが、上位30ブランドを見ると、 売上構成比は変わらず前年比が若干ダウンしています。 ただし、その中の大手セレクト系ブランドを見ると前年比ダウン幅がより大きくなっています。
これは、自社サイトへ移管していることの現れだと思います。

・売上げ総額&前年比
   5月  286億 (前年比102.6%)
   6月  271憶 (前年比100.3%)

・上位30ブランドの売上げ構成比&前年比
   5月  28.6% (前年比 94.6%)
   6月  28.7% (前年比 96.3%)

・30位内のうち、大手セレクト系13ブランドの前年比
   5月  前年比74.4%
   6月  前年比67.5%

上記の大手セレクト系ブランドの減少分は、新規加入ブランドが支えています。






見えてきたこと、学んだこと

新たなテナント管理で、学んだことを述べさせていただきます。


■コロナ後のテナント運営の大きな変化

現在、リアル店舗は、コスト削減という課題に対して、人件費が固定費から流動費に変わるという視点から、 FCや販売代行による店舗運営がよりクローズアップされていますが、大手百貨店や大手アパレルは、 人員再編を実施し、「人材派遣や販売代行を受ける会社」を設立し、より強化しています。
今後は販売代行会社も販売、教育を強化しながらの差別化が求められます。

■オムニチャネル化を推進させる三井不動産(ららぽーと)

DEV・テナント間においては、売上登録をどうするのか?という大きな課題がありましたが、 三井不動産はオムニチャネル戦略の共存共栄を推進されており、自社のECサイト「&モール」と、 ららぽーとを中心としたリアル施設の連携強化に取り組んでいます。
具体的には、①店舗の商品を&モールで販売し、店舗に売上計上する「新たな店舗売り上げ計上方式」、 ②店舗スタッフを前面に出したライブコマースを拡大しています。(7月20日付繊研新聞)

■オフライン(リアル店舗)の在り方を見直すチャンス

ECサイトは確かに便利で効率的であり、コロナ禍でECへのシフトが加速し、 売上高も増えていますが、「モノを買う」だけではなく、 「オムニチャネル化」とともに「わざわざ来てもらう=人が集まる理由」の構築が必要!です。

ECの台頭は改めて「オフライン(リアル店舗)の価値」がどこにあるのか?を 突き詰めて考える絶好の機会ではないでしょうか?。





<今回のまとめ>

■オムニチャネル化を推進しながらSCに求められるもの


テナントの成長戦略や生き残り戦略を、いかにスムーズに受け入れる体制をつくるか?を SCのミッションを軸に考えるのがSCの使命です。

今回はリアル店舗の運営の在り方(FC・販売代行)もあわせて取り上げましたが、 リアル店舗とECの連携によるオムニチャネル化は避けられません。 なぜならば、それがお客様のニーズだからです。

一方で、オンラインへのシフトがどんなに進んでも、 「リアルな顧客接点の価値」は決してなくならないと思います。
したがって、その新たな価値づくりのためにも営業時間や休日など、 現場で働くスタッフが働き易くなる環境づくりが必要不可欠です。

弊社代表は、
事業や計画を見なす時に「3つの目」が重要だと常々申しています。

1.鳥の目  鳥のように高い所から、全体を俯瞰し全体像を把握する
        →事業全体をマクロな視点でみる

2.魚の目  魚が海や川の潮流を体で感じて流れに乗るように、
         事業や計画が時流に合っているかをみる
        →唯我独尊になっていないか?

3.虫の目  虫のように現場に入り込み小さな変化を見つける
        →変化の兆しを見逃さない

この3つの視点を忘れずに、
テナントそしてその集合体であるSCの在り方について、問いかけながら前に進みましょう。





最後までお読みいただきありがとうございました。
次回もよろしくお願いいたします。

ワンスアラウンド株式会社
顧問
馬場 英喜


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