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ショッピングセンター(SC)の未来を考える ―第9回―

ワンスアラウンドの『現場マガジン』 2021年12月8日号


皆様いつもお読みいただきましてありがとうございます。
今週は、『マーケットレポート』の第18弾をお届けします。 コロナ禍でのマーケットの変化と、商業施設を中心とする現場の変化をタイムリーに捉えながら、 自らも現場を持つ弊社ならではの視点で、これからの時代へのヒントをお届けしたいと思います。

【Market Report vol.18】

ショッピングセンター(SC)の未来を考える ―第9回―

こんにちは!ワンスアラウンド顧問の馬場です。
前回は、SCにおいても「DX(デジタルトランスフォーメーション)」に関わる施策が増えており、 SC運営でのデジタル化について事例を挙げながら検証し、デジタル化は、ややもすれば「導入」が目的になりがちですが、 本来の目的は「効率化」と「付加価値の向上」であり、デジタル化はあくまでも手段だとレポートしました。

今後のSCにおけるOMO戦略とは?

従来SCは、お客様やテナントに「買い物をする・してもらう場所」を提供し、来店したお客様が 「共感・ワクワク」しながら、 店舗を「顧客体験の場」とする役割を担っていました。しかし、ECの台頭とコロナ禍を経験した今、 「場所」が持つ意味は変化しつつあり、OMOが進む時代において、SCの在り方やテナントとの関係の変化が求められています。

*OMOは、Online Merges with Offline の略であり、オンラインとオフラインを融合させる施策です。

注目される「デジタル」と「人」の接点

リアル店舗(オフライン)とEC(オンライン)の融合が進む中、「リアル店舗の役割と価値の改革」が求められていますが、 今回は、「デジタル」と「人」の接点に注目しながら、その役割がどう変化しているのか?
SCとテナントの事例を挙げながら検証します。



<事例1 パルコ>


パルコは、早い段階からOMOの取組みを始め、2013年には「24時間PARCO」の概念を打ち出していました。 これまでの集客は、メディアを活用しての広告宣伝が主流でしたが、スマートフォンの普及に伴い、 それを活用した集客や販売支援に舵をきりました。

年初恒例のSC協会主催のビジネスフェアにおけるPARCOのブースは、DEVの中で、 いち早くデジタル関連の提案をしていたのに符合します。

最初の試みは「ショップブログ」で、ショップスタッフが来店前のお客様に直接情報発信をし、 パルコがそれを拡散するという棲み分けに挑戦しました。
また、コロナ禍後はライブコマースをスタートさせ、特にインバウンド需要が高かった中国を対象に、 「越境ライブコマース」も強化しています。

テナントが発信しやすい環境を整えて、パルコがスピーカーとして「プラットフォーム」をつくり、 ハブ機能を果たしながら、テナントの発信をサポートする形が出来れば、双方のブランド力の相乗効果が期待できます。



<事例2 三井不動産グループ>


ららぽーとを運営する三井不動産グループは、リアル店舗とECの融合についても早くから取り組んでいます。
2017年に、リアル施設共生型公式ECサイト「&モール(アンドモール)」を立ち上げ、 その後、リアル店舗と融合される場として「&モールDESK」を展開し、更にICTを活用しながら、 リアル施設のオムニチャネル化や利便性・快適性の向上促進を目指しています。

コロナ禍後の2020年12月には、ライブコマースサイト「MEETS SHOP」を開設し、 本年3月には、「&モールDESK」を備え、そこに家族でも楽しめる機能を付加した 「LaLaport CLOSET」を船橋(ららぽーとTOKYOーBAY)に展開し、 新たな顧客体験を提供するOMO化を推進しています。



<事例3 アダストリア>


30以上のブランドで、国内外に約1400店舗を展開していますが、 公式WEBストア「.st」(以下:ドットエスティ)が大きく牽引しています。

ECへの取り組みはアパレル業界内では早く、10年ほど前から「ドットエスティ」と 「大手ECモール」への展開をスタートしています。
2012年には、「リアル店舗とWEB」会員のIDを全ブランド統一して共通会員とし、 会員数も2013年の100万人が、現在は1300万人となっています。

SNS発信は、10年前は「店舗単位でのスタイリング」を発信していましたが、 現在は、「個人がフォーカス」される時代に入り、「スタッフボード」を活用して個人を前面に出す方向に変更されています。

また、公式WEBストアをリアル店舗化したOMO型ストアの「ドットエスティストア」を 今年5月に船橋(ららぽーとTOKYO-BAY)、府中(ミッテン)に出店し、 今月3日には、大阪(なんばCITY)へ3号店を出店しました。
そこでは、デジタルとリアル店舗をシームレスで繋ぎ、蓄積されたデータを活用しながらお客様への更なるお役立ちの提案をしています。



<事例4 ビームス>


ビームスもリアル店舗の顧客データとECサイトの会員データが別々に管理されていましたが、 2016年に二つのデータベースを統合し、顧客情報を一元管理しています。
一人ひとりの購入履歴が把握できますので、店舗からお客様に働きかけることで、 お客様はよりきめ細かなサービスが受けられ、リアル店舗で商品を確かめ、オンラインで購入するフレキシブルな買い物が可能です。

また、ビームスでは、店舗スタッフだけに留まらず、本社スタッフもインフルエンサーとなり、 メディア化するといった取り組みも行っています。

ビームス公式サイトでは、「スタイリング、フォトログ、ブログ、ビデオ動画」といった 豊富なコンテンツで自由な情報発信が可能となっていますので、 オフラインで一対一の接客を行っていた店舗スタッフがオンラインで発信することで、お客様との接点が増え、 ビームスのファンを増やし続けています。


今回、見えてきたこと。学んだこと。

これから迎える本格的なOMO時代に向けてのデジタル接点は、 SNSによる情報発信やオンラインによるライブコマースが、 新たな顧客体験を生み出しており、「効率化と付加価値向上」の役割を果たしています。
それを支えているのは、「リアル店舗での情報発信を担う販売スタッフの接客経験である」事がわかりました。

・接客においては、スタイリング提案が重要ですが、 店頭で常にお客様と向き合って接客しているスタッフだからこそ、デジタル上でもスタイリング提案が出来るのです。

・お客様の「体験価値」は、ECサイトよりも「ブランドの世界感」を感じて貰えるリアル店舗の方が高いですが、 これからは、DEVがリアル店舗とデジタルを掛け合わせながら、 お客様と店舗スタッフとの接点を繋ぐことが益々重要になるのではないでしょうか?

SCの現場での新たな変化

(1) SNSでの情報発信の変化

発信ツールのコンテンツは、
①スタイリング ②フォトログ ③ブログ ④ビデオ動画へと進化し充実していますが、 併せて、クリックから閲覧に結びつけるために、「情報の出し方」「タイトルのつけかた」 「写真の撮り方」等のレベルアップが求められています。

(2) ロールプレイングの変化

接客販売分野では、SC及びテナント各社はリアルでのロープレ大会を実施しながら、 最終的にはSC協会の全国大会を目指していましたが、昨年から大きな変化が出始めています。

「三井不動産グループ」やオンライン接客アプリ「STAFF START」を運営している「バニッシュ・スタンダード社」は、 新たに「デジタル上での接客技術」の大会を実施しています。

(3) テナントで起きている販売環境の変化

従来は店舗での販売だけでOKでしたが、現在の店スタッフは、販売をしながらSNS投稿をあげることが求められています。

ただ、SNS投稿の強化のためにスタッフを増やせる環境ではありませんので、 投稿時間の捻出と確保のための業務改善や、店長のタイムマネジメント上の新たな基準づくり等が求められています。

DEVも、店スタッフのモチベーションアップに向けて、投稿時の撮影場所の提供やSC内の表彰制度など、 リアル店舗を支えてきた営業管理などのインフラの総合的な見直しが求められています。

顧客接点のデジタル化の中で、SC及びテナントに求められるもの

従前は、「SCそして店舗が、日常」でしたが、現在は、 手のひらにある「スマートフォンが、日常」となっており、 SCや店舗で過ごす時間が短くなっているのが現状です。

コロナ禍で
【十分に接客が出来ない店舗スタッフのモチベーションを上げる】 ために、
DEVが
【新しい時代の接客に対応したライブコマースや動画発信、SNSでの情報発信などの場とスキルを磨く機会を提供する】 ことによって、
SCにおける
【リアルショップの新たな店舗価値】 が生まれるのではないでしょうか?

そして
顧客接点のデジタル化のカギはやはり「店舗スタッフ」が握っています。




ワンスアラウンド株式会社
顧問 馬場 英喜



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